本プロジェクトは、長野県阿南町に現存する江戸期の大規模古民家「とんや」を対象とした、歴史的建築の動的再生と先端技術融合の実証研究である。単なる文化財保存でも、単なるスマートホーム化でもなく、三つの目的を同時に達成することを目指す。
第一に、建物の外観・意匠・歴史的価値を歴史公証によって正当に評価・継承しながら、内部に高気密・高断熱化と堅牢なシェルター機能を「不可視の形」で埋め込む建築的再生。第二に、平時は地域住民の交流と自給自足農業の拠点として機能し、大規模災害時には地域全体の防災・生存拠点へとシームレスに転換できる可変型インフラの構築。第三に、クラウドに依存しないスタンドアローン型AIとロボティクスを活用し、高齢・疾病・身体機能喪失といった状況下でも人間の尊厳ある生活を自律的に支援する未来型ケアシステムの社会実証。
これら三つを一つの歴史的建築の中で統合することで、過疎・高齢化・災害リスクという地方が抱える複合的な困難を克服するモデルを創出する。